地域に求められる墓地政策

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上田 裕文 (北海道大学)

日本では、2012年より人口推移が増加から減少に転じ、少子高齢化が進行しています。人口減少や少子高齢化は、縮小の話題と結びつきやすい傾向がありますが、逆に増えるものもあります。それがお墓です。地域政策においても、今後増加する墓地需要に対して、どのように応えていくかを真剣に議論していく必要があります。

2025年には、団塊の世代が75歳を超える後期高齢者となり、超高齢化社会が訪れ、その後には多死社会が訪れると言われています。単純に亡くなる方が増えるからお墓が増えるというわけではありません。これまでの人口増加により、世帯数もこの50年間で約2倍に増加しました。家族が代々お墓を守っていくという、明治時代に制定された家制度に基づく考え方では、お墓は家の跡継ぎによって引き継がれ、檀家になっているお寺に管理してもらい、供養をお願いするというのが一般的な考え方でした。そして、跡継ぎ以外の次男や三男は、自分たちで新しいお墓をつくるので、単純に考えると、世帯数の増加がそのまま墓地の増加につながるというわけです。

しかし、少子高齢化によって、子供のいない、または娘しかいない夫婦、生涯未婚の方などが増加し、これまで当たり前だった、お墓は家族代々継承するという前提が成り立たなくなってきました。家族のかたちが多様化し、跡継ぎがいなかったり、もしくは跡継ぎがいても何かしらの理由でお墓を引き継ぐことができなかったりということが増えてくると、これまでのお墓をそのままのかたちで存続させるのが難しくなってきたのです。このような状況で、こうした様々な家族の事情に対応するために、様々なかたちのお墓が必要とされるようになってきました。

特に地域政策の視点から考えると、社会の流動化に対応したお墓のかたちが問われるでしょう。居住地をライフステージに応じて変えていく生き方が広まっていく中で、「ふるさと」の概念が曖昧になってきています。現代社会においてふるさとが失われていくのに伴い、今後は、ふるさとにお墓を作るのではなく、お墓のある場所が一家のふるさとになる時代が来るかもしれません。全国に散った家族が帰省できる実家やふるさとが無くなったとき、せめて旅行がてら年に一度は家族が集まれるお墓というのは、どのような場所に作られるべきでしょうか。今後の墓参は、明らかに観光と結びついていくと考えられるのです。

宗教離れが進み、お寺の存続が危ぶまれる中、墓地の永続性という観点から、公営墓地のニーズがさらに高まっていくでしょう。地方自治体は、墓地整備のあり方を根本的に見直す必要に迫られていると言えるでしょう。

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