「自治体の公共施設等の見直し」

2015年12月1日

井川 博(政策研究大学院大学)

 国・地方の財政状況が厳しい中、また、人口の減少、人口構造の変化が予測される中にあって、公共施設やインフラの老朽化、その見直しが大きな課題となっている。

国は、2013年6月の「骨太の方針」における「『新しく造ること』から『賢く使うこと』への重点化が課題である。」との認識にもと、「インフラ長寿命化基本計画」を2013年11月に策定した。

一方、地方自治体についても、2014年4月に、総務大臣から「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」が通知され、「公共施設等総合管理計画」の策定が要請された。総務省からは、計画に記載すべき事項などについて「指針」が示されており、①公共施設等の現状及び将来の見通し、②公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針などを計画に記載することとされている。

自治体は、計画策定や計画事業に対する国の財政措置もあって、積極的に計画策定に取り組んでいる。総務省の調査によれば、2015年の4月1日現在で、75団体(4.2%)が計画を策定済みであり、2015年度末までに545団体(30.5%)、2016年度末までには、1761団体(98.5%)が策定を終える予定である。

しかし、計画策定にあたっての課題も多く、日本経営協会の調査(2014年11月)によれば、自治体からは、「計画策定にあたってのノウハウが不十分である」(65.8%)、「策定に必要な資料他データが散在している」(58.7%)などの問題が指摘されている。

総務省の「指針」では、今後30年程度の人口の見通しや中長期的な管理経費、その財源の検討を行い、期間が10年以上の計画を策定することとされている。しかし、どのように長期的かつ総合的な計画を策定していくか、特に将来の財源をどう見通すかは、難しい問題である。

また、「指針」の中で、留意事項の第1に指摘される「行政サービス水準等の検討」も重要な課題である。日本の人口構造が大きく変化する中で、公共施設等の役割を改めて吟味するとともに、受益(便益)と費用負担の観点から、自治体が提供する行政サービス全体の検討を行う必要がある。

さらに、住民の理解、支持をどう得るのかも、大きな問題である。総論レベルで、自治体の財政状況、基本計画等に対する住民の理解を得るとともに、各論レベルで、個別の公共施設等の見直し(統廃合等)に対する住民の支持を確保していく必要がある。

このように、自治体の公共施設等に関する管理計画の策定、見直しには、多くの課題が予想される。しかし、日本の姿が大きく変わる中で、解決が迫られる喫緊の課題であり、長期的、総合的な観点から抜本的な検討が求められていると思う。

2015年12月1日

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