インバウンド商談会参加から大学の地域連携を考える

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李 良姫 (兵庫大学)

訪日外国人旅行者数は2017年に2,800万人を超え、2020年は4,000万人を目標にしています。こうした中で、日本政府観光局 (JNTO)主催、「VISIT JAPAN Travel Mart 2018 -ASEAN・INDIA- (VJTM2018 -ASEAN・INDIA-)」が、2018年11月27日から28日まで神戸国際展示場で開催されました。東南アジア市場及びインド市場の訪日旅行取扱旅行会社等と日本全国の観光関係事業者が一堂に会し、様々なインバウンド関連ビジネスを創出する商談会として、観光産業全体の振興と地方経済の活性化が開催目的です。

近年、JNTO主催のインバウンド商談会は国内外で数多く開催されていて、地方の小規模の市町村が積極的に参加しています。地方へのインバウンド観光客の誘致は、経済的効果もさることながら、地域活性化や伝統文化の維持、国際交流の場の提供などの面での効果も評価されるべきだと思います。

国内で開催されるインバウンド商談会には、自治体、自治体観光協会、観光関連団体、旅行会社、運輸・交通機関、テーマパーク、観光施設、都市型商業施設、コンベンションビューロー、宿泊施設等、様々な観光関係事業者が参加します。また、開催都市及び開催地域周辺を拠点に活動する企業・団体への優先参加枠もあります。

神戸で開催されたインバウンド商談会に兵庫県東播磨県民局も参加しました。東播磨県民局と兵庫大学は、「地域資源を活用した産業・観光・地域づくりの振興」と「人的・知的資源の交流」等に関して地域連携協定を結んでいます。せっかくの地域との連携協定の締結が、単に締結式で終わらないように、私の方から東播磨県民局にインバウンド推進を提案し、インバウンド商談会の参加に至りました。大学の教員が、行政の委員会への参加や政策の提案、行政主催の地域イベントへの学生の参加など様々な形で地域とかかわることは、地域貢献につながる大変有意義なことだと思います。

今回のインバウンド商談会では、兵庫大学の学生が通訳を務めましたが、参加学生は「現場体験ができ、インターンシップ参加ではできなかった実践勉強ができ、就職活動への活用と就職後の業務にも活かせる」と感想を述べました。参加学生の感想からも分かるように、大学にとっても、実務教育の実践やコミュニケーション能力の向上など教育の面でも大きな効果を得ているといえます。一方、地域連携の構築、学校授業との並行、教員の負担の軽減、事故防止、継続性などの課題も多くあります。このような課題を解決して積極的に地域政策を提案し、インバウンド関連のみならず、大学と地域が様々な面で地域連携を図っていき人的交流を行うことで、地域においては地域振興につながり、大学にとっては教育効果を高めることができるのではないでしょうか。

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