支部活動で地域力の向上を

2016年4月1日

片亀 光 (環境カウンセラーズぐんま)

 大宮会長の掲げる<重点課題1>の1つの柱である「支部組織の設立」が、会長の熱意と各支部設立準備委員の皆様及び学会事務局の尽力によって、いよいよ具体化します。

 1月12日の近畿支部を皮切りに、5月までに6つの支部が設立総会を開催し、支部活動をスタートさせます。また、中国・四国・九州・沖縄については、中国・四国と九州・沖縄の2つの支部の設立に向けた準備が始められています。
支部設立にご尽力いただいた各支部の皆様に感謝申し上げるとともに、支部活動への期待を述べさせていただきます。

 私事で恐縮ですが、昨年結婚30周年で南九州(宮﨑・鹿児島)を初めて巡って来ました。妻は高千穂、私は知覧特攻平和会館が最大の目的でしたが、宮崎交通のベテランガイドさんの案内で大変印象深い旅となりました。出張も含めると、福井と大分以外の45都道府県に足を踏み入れたことになります。

 群馬で生まれ育った私は、学生時代の筑波と半年間の東京生活を含め、関東地方で生活して来ました。夏は蒸し暑く、冬は乾燥した晴天が続く太平洋側で生活していると、日本海側の冬の生活というのはなかなか想像がつきません。

 以前北海道の友人に「お前の家は寒いな」と言われたことがあります。その翌年友人宅を訪ねると、7月なのにストーブを焚いていました。厳寒の北海道では、家に入れば真冬でもTシャツ1枚でいられるほど住宅性能や暖房が整っていると聞いていましたが、実際に体験してみて初めて実感がわきました。

 インターネットによって、居ながらにして世界中の情報を入手できますが、やはりその地を訪れて風土や人情に触れてみないとわからないことは多いし、食べ物にしても、宅配でお取り寄せした地域の名産でも、現地で初めて食べたときの感動には及ばないことが多いと思います。

 前置きが長くなりましたが、地域政策の調査・研究においては、地域特性を把握することが重要なことは言うまでもありませんが、その成果を実際の地域政策に反映させていく際にも同様です。今回設立される各支部には、それぞれ固有の気候風土や歴史にはぐくまれた地域特性があります。支部活動によって、そうした地域特性への理解が更に深まるとともに、地域力の向上が図られることを期待します。

 一方、栃木と群馬のように隣接する県同士でも、東京で顔を合わせることはあっても、相互の日常的な交流は意外に少ないというようなこともあります。北海道では、「札幌より羽田に集まる方が早い」などとも言われるそうですが、支部設立が東京一極集中ではない地域連携のきっかけにもなれば幸いです。

 また、各支部の活動はその中だけで閉じるのではなく、その成果を学会全体で共有することが重要です。例えば、再生可能エネルギーの活用やエコ・モビリティの普及なども、各地の成功事例に学びつつ、地域特性を踏まえた上で取り入れていくことが重要です。また、有料化によって大幅なごみ減量を達成した北海道伊達市や東京都日野市などが注目される一方で、有料化せずに成功した名古屋市などの事例にも興味深いものがあります。数値的な成果の背景にある要因を含めて共有していきたいと思います。

 そして、東日本大震災から丸5年がたち、被災地域以外では記憶や関心が低下しつつあることも懸念される中で、東北以外の地域が被災地域に学ぶべきこと、また被災地域に対して支援・連帯できることを念頭に置きながら、各支部活動が活発に展開されることを期待いたします。

2016年4月1日

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