日本地域政策学会は、急速に進展する地方分権化とグローバル化の中で、地域政策の分野における国内外の研究成果や実践成果を有機的に結合させつつ、地域政策の実務と研究の新しい統合をめざすものです。とりわけ、地方分権という社会的要請に応えるために、地域政策や地域づくりに関する高度な知識と広い視野に立った戦略的な政策立案・実施・評価のあり方、地域経営・組織運営のための知識や技法を研究することを主な目的としています。
我が国では1999年7月地方分権一括法が成立し、2000年4月より施行されました。地方分権が現実のものとなり、国と地方が対等となる構造改革が始まりました。明治以来の中央集権制度の中で執務を行ってきた地方自治体が、権限を委譲され、いよいよ自己管理・自己責任のもとで政策を立案・実施・評価する責務を持つことになります。これまで国に頼ってきた地方自治体が、自ら政策を立案し運営する政策自治体としての機能を果たすことが求められるようになりました。国と地方公共団体が役割分担を明確にし、国がやるべき仕事と地方公共団体がやるべき仕事をクリアにして、相互のパートナーシップを高め、地方公共団体がパワーアップすることによって、地域特性に応じた活力のある地域社会が形成されることが期待されています。分権型社会実現に向けての歩みが始まったのです。
分権型社会において、地域社会の活力ある創造をめざす地域づくり活動や地方行政は、市民自治の理念が基礎的要件になります。関係する人や団体が共に協力して地域をつくるという「共治」時代の地域づくりは、自治体だけが地域づくりの主体ではありません。これからの地方自治体は、住民参加、情報公開、アカウンタビリティ(説明責任)を基礎として、透明で開かれた参画型行政を目指していくことになります。住民・企業・NPO・大学(研究機関)などが知恵を出し合って連携・協力し、未来のまちづくりを考え、効率的で創造的な地域経営を行うことが求められているのです。
日本地域政策学会は、このような地域政策や地域づくりに関する新たな時代を迎え、地域政策・地域づくりについての課題を解決する研究と実践活動に積極的に取り組んでいきます。国内外の地域づくりにおける研究や実践を有機的に結合し、地域政策に関する実務と研究を統合し、高度な専門的知識と戦略的地域経営のあり方を求め、地域政策研究の高度化と体系化をめざします。
大学教員、自治体職員、企業の地域戦略担当者、地域産業の担い手、研究機関研究員、NPO活動家、地域プロデューサーなど、地域政策や地域づくりに関心を持っている方々は、本学会の趣旨をご理解の上、多数参加していただき、その活動から実り豊かな研究成果が生まれることを切に期待しております。