地方議会改革と住民代表機能の向上

2021年11月1日

井川 博 (帝京大学)

 地方議員の数は、地方分権改革推進法が制定された前年である1998年末の約6万3千人から2020年末には約3万2千人と大幅に減少している。地方議会に要する経費(議会費)も、1998年度の6023憶円から2019年度の4168憶円へと3割以上の減少を示している。こうした減少の背景には、市町村合併の影響が大きいが、それだけではなく、地方議会の機能や議員の活動などをめぐり、住民の厳しい目が注がれていることがある。

 こうした中で、全国の約半数の地方自治体において議会基本条例が制定されるなど、多くの地方議会が精力的にその改革に取り組んでいる。地方議会の機能(役割)には、①住民の意見(意思)を把握し、反映する機能(住民代表機能)、②執行機関の活動(施策)を監視(チェック)する機能(監視機能)、③政策を立案(提案)する機能(政策立案機能)という3つの機能があるとされる。厳しい財政状況の中において、議員数の削減などの合理化も重要であるが、それ以上に大切なのは、二元代表制の一翼を担う地方議会におけるこれらの機能の向上と、それを可能とする議員活動の充実であるといえる。

 分権改革により自治体の自主立法権や自主行政権が拡大する中で、自主的な法令解釈や条例制定の重要性が増している。また、住民の参加が拡大し、これまで以上に自治体活動の透明性と説明責任が求められる。こうした中で、地方議員の法務能力の向上が地方議会の機能強化を図る上での重要なポイントの一つとなっている。地方議会の監視機能や政策立案機能を強化するためには、地方議員の法務能力を向上する必要があるとされ、地方議員の法務能力の向上を目指した研修が全国市町村国際文化研修所(JIAM)等で実施されている。

 しかし、法務能力の向上とともに重要なのは、地方議員が様々な住民の意見や地域の実情を把握し、それを自治体活動に反映させるという住民代表機能の充実である。例えば、条例の立案においては、条例制定の必要性や合理性を基礎づける「立法事実」の検討が重要であるとされるが、各議員が住民の意見や地域の実情を十分に把握することは、この立法事実を的確に検証する上で極めて重要である。また、地方議会の監視機能を強化する上でも、各議員が住民の意見や地域の実態を的確に把握し、地方議会の住民代表機能を充実させることが大切である。

 民主主義のあり方については、最近、様々な問題が指摘されている。地方自治は、民主主義の学校、民主主義の基盤であるとされる。その一翼を担うべき地方議会が、どのようにして住民代表機能を向上させ、我が国の民主主義の発展に貢献していくかは、極めて大きな課題であると思う。

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