小学校廃校問題を地域政策の未来を考えるきっかけに

2021年3月1日

杉岡 秀紀 (福知山公立大学)

近年、公共施設に関わる仕事が増えて来ました。その中でも最近気になっているのが小学校廃校問題です。

私が住む福知山市(人口77,038人。2020年12月末現在)では現在16の小学校が廃校し、うち2校は民間企業や福祉施設としてすでに活用されています。しかし、残り14校についてはまだ白紙であり、まさにこれからという段階にあります。行政としても専門部署を創設し、ここ数年、サウンディング市場調査や公民連携のための協定締結、廃校マッチングバスツアーの実施など、矢継ぎ早にアクションを起こし、本腰を入れて来ました。しかし、小学校は地域住民がほぼ全員通った思い出深い場所であり、地域の要望や運動、寄付で創設されたといった歴史がある地域ほど、なかなか総意がまとまりません。確かに公共施設全体としては、従来型の指定管理者制度、賃貸、定期借地、PFI以外に、近年はネーミングライツやセール&リースバック、DBO、コンセッション方式など多様な公民連携の手法が開発されてます。とはいえ、小学校については面積が広いこともあり、土地の境界確定や都市計画法、建築基準法等との兼ね合いなど、詰めなければいけない課題が多く、なかなかマッチングに至らないケースが散見されます。

ところで、先日隣町の丹波篠山市における廃校活用例を伺う機会に恵まれましたので小欄で紹介したいと思います。1例目は旧雲部小学校を活用した里山工房くもべの事例。ここでは住民の9割が出資した合同会社が中心となり、数年前から農家レストランやアトリエを展開しています。今では京阪神を中心に年間1万人に近い人が利用する施設となり、特に出資者である住民がレストランで使える食事券を発行したことで、日常的な住民利用を担保できていました。2例目は旧福住小学校を活用したSHUKUBAの事例。ここでは「みんなでつくる、文化と暮らしの学校」をコンセプトに地元と連携したNPOが立ち上がり、地域の歴史を発信するライブラリーやチャレンジカフェ、農産加工所、サテライトオフィスのテナント貸しを展開されています。その結果、元小学校の近隣にもパン屋やガラス工房など移住者によるお店が続々と開設されるなど「人が人を呼ぶ」正の循環が起きていました。3例目は元大芋小学校を活用した、おくも村の事例。ここでは住民が一般社団法人を作り、「泊まれる学校」をコンセプトに学校の一棟貸しを展開しています。初年度ですでに年間1,000人以上の利用実績が見込まれるなど、地域の新しい拠点となっていました。

これらの事例から学べる点は何でしょうか。それはこれまで小学校が地域で果たしてきた様々な役割を考えると、やはり小学校があった場所というのは「地域のビジョンとワクワクが集まるコミュニティの拠点」として考えるのが最も重要ということではないでしょうか。今後も少子化は進み、どの地域でも小学校廃校問題からは逃れられません。それだけに本問題は公共施設の問題に矮小化せず、地域政策の未来を考えるきっかけにすべきではと愚考する今日この頃です。

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