令和6年1月1日16:10に石川県能登地方(輪島の東北東30km付近)で深さ16km、マグニチュード7.6、最大震度7の「令和6年能登半島地震」が発生した。北陸地域を中心に多くの方々が被災しており、特に石川県の奥能登地域(輪島市・珠洲市・穴水町・能登町の2市2町)では、その被災状況は甚大である。先ず、ここに、亡くなられた方への哀悼の意を表するとともに被災された方々にお見舞いを申し上げ、加えて、これまで継続的に被災地での救命・救助、復旧・復興に尽力している方々へ感謝の気持ちを伝えたい。
既に地震発生から半年が経過した6月末現在、各被災地での復旧・復興活動が続けられている。石川県での被害状況は、住宅被害83,980棟、死者300人(直接死230人、災害関連死認定30人、災害関連死認定予定40人)、避難者2,288人、負傷者1,207人、行方不明者3人である。なお、大きく被災した穴水町は、これまで平成19年3月25日に「能登半島地震」、令和5年5月5日に「令和5年奥能登地震」で被災しているが、今回の「令和6年能登半島地震」の被害は遥かに大きく、発災当初は58ヵ所に約3,800人(全町民の約半数)が避難し、現在も17ヵ所の仮設住宅に分散しており、被災家屋の公費解体も申請件数の10分の1以下に留まっている。
筆者は、これまで大学教員として公益社団法人大学コンソーシアム石川「地域課題研究ゼミナール支援事業」、文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」、総務省「域学連携」地域づくり活動も含め、穴水町において約27年間、学生と共に地域資源を活かした地域振興に取り組んでおり、これらの地域との関係性もあり同町の「まち・ひと・しごと創成総合戦略会議」にも委員(座長)として関わり、今回の地震災害復興に際し、「穴水町復興計画策定委員会」においても委員(委員長)として深く関わっている。また、1月1日の発災直後より日本赤十字社石川県支部「石川県安全法委員会」メンバーとして、奥能登地域を中心に被災者への救援物資や支援スタッフへの運営物資等を日本赤十字社の緊急車両で直接搬送しており、その他、JRF(日本ライダーズフォーラム)「日本応援ツーリング」、NPO法人「地球元気村」等と連携した支援活動を継続実施している。
政府の「能登半島地震の復旧・復興支援本部」の第1回会議(令和6年2月1日)以降、関係省庁の緊密な連携のもと、政府一体となって迅速かつ強力に復旧・復興が進められており、当該の石川県各部局も同様に積極的に取り組んでいる。今後の復興に際し、勿論、被災者の立場に立ち、専門性を活かした復旧復興フェーズや被災地の特性に対応させた継続的な復興・創生が重要である。実際に被災地現場での災害支援活動を通して、被災された方々、ボランティアセンター等の自治体関係者、全国からの支援職員、その他多くの一般ボランティアの方々との協働場面において、最も大切なことは、「人と人」との共感、寄り添いであり、支援側の1人ひとりがその思いを持った上で自身の強みを復興・創生に活かして行くことが不可欠である。その地域の最大の資源は「人」であり、「人と人」とのつながりそのものが地域活性化の原点であると考える。復興での連携・協働が地域創生に最も大切であり、その意味でも日本地域政策学会は多様な経験、専門性を有する多くの人材(「人」)を保有しており、「学会」という学際的・総合的強みを活かした復興・創生への積極的で実践的な寄与が強く期待される。