地域について多様な視点で多彩に考える ~会長退任の挨拶とともに~

2018年9月3日

第8期会長  大宮 登(高崎経済大学名誉教授)

<「地域政策について一言」を読み直す>
2014年7月に会長という大役についてから2018年7月まで、様々な活動を展開してきました。支部創設、委員会の充実、研究の継続と深化、会員の拡充等、お陰さまで実現することができました。実は、この「地域政策について一言」のコーナーも、会員間の相互交流のひとつとして提案して実現されたものです。今回、会長の大役を降りて、改めて全部読み返してみました。
2015年9月1日の第1回目は、新潟医療福祉大学副学長の丸田秋男先生に書いていただきました。それから毎月1回、理事の皆さんを中心に、多くのメッセージが交換されています。そして、2018年8月1日の村山元展高崎経済大学学長まで、4年間に渡って、全部で36回の投稿が行われました。

<地域について多様な視点で多彩に考える>
地域政策論(学)、地方創生、地域ガバナンス、地域自治組織、地域振興(小学校区、コミュニティ)、地域福祉、地域医療、介護・生活支援ロボット、環境政策、観光政策、文化政策、農山漁村政策、人材育成、市民協働、主権者教育、人口減少問題、韓国の地域政策、軽井沢の地域政策、地域司法、墓地政策、公共施設問題、公文書管理等、それぞれの研究テーマから、地域政策について自由闊達な考えが述べられています。
更に、私が真剣に取り組んできた大学と地域の連携、大学教育改革について、あるいは「数値で示せないものを大切にする」「シンク・ローカル、アクト・グローバル」「地域の幸せ」など、研究者として大事にしたい基本理念などの提示もあって、研究者の皆さんの立ち位置が分かり、読みながら筆者の顔が浮かんできました。
本コーナーの読後感を一言で表現するなら、地域政策のテーマは、限りなく広く、そして深い。これまで蓄積されてきた36個の「地域政策について一言」は、これからますます、多種多様な立場から、多彩な価値観の中で考え、生涯にわたって学び続けて、実践に繋げていくという地域政策の視点が重要だということを訴えているのではないでしょうか。テーマごとに分類して、一冊の冊子にしたいな、等という妄想を抱くほど、楽しんで読ませていただきました。

<日本地域政策学会の立ち上げと研究の進展>
話は変わりますが、今年の2018年7月21日~22日の2日間、岡山大学で第17回目の全国研究大会が開催されました。私は本学会に2002年の立ち上げからずっと関わってきました。1996年に日本で初めて高崎経済大学に開設された地域政策学部に赴任し、先生方と協力して地域政策学部の卒業生が進学できるように、2000年に大学院地域政策研究科を立ち上げました。そして、2002年には博士後期課程も開設することができました。
学部学生や大学院生の学びを深化する場として、学会が必要なのではないか。全国の研究者の成果を聞き、自分たちの成果を発表し、意見交換をする研究交流の場としての学会がほしい。地域政策研究を中心テーマとした学会がほしい。学外の研究者たちの風を常に感じていたい…。そうした声をもとに立ち上げられたのが日本地域政策学会です。爾来、私は、初代事務局長としての役割から始まり、会長まで務めあげることになりました。現在の470名を超える会員とともに、「地域政策研究」に真剣に取り組んできました。

<地域特性に応じた地域研究の深化のために支部を創設>
4年前に会長に就いた時に重点課題を提示しました。私は責任ある立場に就いた時、必ず、関係者に任期中の取り組むべき重点課題を明示することにしています。今回は、最も大きな重点課題として支部の設立を掲げました。中央集権型社会から持続可能な分権型社会への転換が、地域政策学会の基本的な共通テーマであるなら、地域特性に応じた地域研究の深化を可能とする地域支部の設立と充実なくして、学会の意味と意義はないと考えました。
そう思っていた私は、支部設立を第1の重点課題に掲げて、皆さんに協力をお願いしました。しかし、皆さんお忙しい先生方ばかりなので、そんなに簡単には実現はできないだろうと考えていましたが、お陰さまで予想以上のスピードで支部が設立され、それぞれの研究活動が展開されています。支部の活動は、今後が楽しみであり、その努力には本当に感謝しかありません。

<退任に当たって>
この「地域政策について一言」も、うれしい財産です。ホームページでいつでも読み返すことができ、論点を整理したり、アイディアを生み出したりするときに役立ちます。もちろん、やり残したことや課題もたくさんありますが、岡山大会で会長としての最後の仕事を終えて、明治大学の小田切徳美教授に会長職を引き継ぎました。
ここ数年、大病を患っていたので、無事に役割を務めあげることができて、「ほっと一安心」というのが正直な気持ちです。設立から17年、みなさんのご協力に心から感謝します。これからの本学会のますますの充実を祈願して、本稿を閉じることとします。ありがとうございました。

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