地域金融の潮流 ―地域銀行を中心に―

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山本 俊 (青森公立大学)

 わが国企業の99%以上が中小企業であり、労働者の約7割がそこで雇用されている。とりわけ地方においては、中小企業が生産や雇用の中心にあり、その持続性や成長性の向上が地域社会の将来に大きく影響することは明らかである。

 中小企業が抱える課題は多様である。人口減にともなう「人材不足」や「事業承継」、それらを解決し、より競争力を高めるために必要な「DX投資」、そこから生産される省コスト・高付加価値商品の国内外における「販売体制の構築」、差し迫る高金利時代における「事業資金の確保」など、諸課題はますます複雑化し、それらの解決には高い専門性も求められるようになっている。

 こうしたなか、中小企業を主な顧客とする地域銀行の果たす機能は拡大され、2026年以降、さらなる強化が進められようとしている。なお、地域銀行とは、いわゆる地方銀行と第二地方銀行のことであり、最近は政府資料などにおいてもしばしば登場している。

 地域銀行の機能の拡大は、2021年11月に施行された改正銀行法を根拠としており、銀行の経営資源を主に活用することを前提に、地域の活性化や産業の生産性の向上、その他の地域の持続性の向上に資する業務を営むことが可能になったことによる。そこでは、「人材派遣」や「システム設計・開発・保守」、「顧客紹介等を含む“経営相談”」「広告・宣伝・調査・情報分析」などが列記されており、これらはまさに、中小企業が抱える課題解決に直結し得るものとなっている。

 さらに、地域銀行の子会社や兄弟会社においても、こうした業務を営めるようになっただけでなく、上記のような営める業務に個別列記のない「他業銀行業高度化等会社」の認可を受けることで、エネルギーや電力、農業、教育分野にわたる広範なサービスも提供され始めている。

 このように、地域銀行の機能が拡大してきた中で、金融庁は2025年12月、「地域金融力強化プラン」を発表した。そこでは、地域銀行等に対し、各々のおかれた環境などを踏まえた上で、「地域企業の価値向上への貢献・地域課題の解決」への取り組みとして、地域金融機関の知見を深めつつ、中小企業が抱える諸課題の解決に資するような施策が盛り込まれている。さらに、サプライチェーンの一翼を担う従来の中小企業像から一歩踏み出し、地域社会における諸課題の解決に、営利性を確保しながら向き合う「ローカル・ゼブラ企業」への支援も促されている。

 今後の地域銀行は地域における金融仲介を基本としつつ、新たな機能を発揮することで、中小企業の持続性や成長性の更なる向上だけでなく、ローカル・ゼブラ企業の支援にも意識的に取り組むことになるだろう。よって、地域銀行は、自らの行動が地域社会の将来を大きく左右することを自覚し、健全経営に努めるとともに、顧客企業間の競争にもより強い影響力を持つようになることから、厳格な公平性も求められる。

 こうした地域銀行を中心とした地域金融の潮流が大きなうねりとなり、地域社会に明るい未来をもたらすことを期待したい。

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