大学政策と地域人材育成

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村山 元展 (高崎経済大学)

近年の大学政策を振り返ってみよう。まず、文科省は2013年度からCOC事業を開始し、大学挙げての地域貢献を推進するようになった。その後、2016年には国立大学では「自らの選択」としたうえで大学の機能分化が進められ、①卓越した教育研究を行う16大学、②専門分野の優れた教育研究を行う15大学、③地域貢献を行う55大学になった。そして機能分化を強化するために優れた取り組みの大学に対して予算の重点配分を行っている。

また今年6月の中央教育審議会大学分科会将来構想部会中間報告では、大学を「人材養成の三つの観点」から、①世界を牽引する人材養成、②高度な教養と専門性を備えた先導的な人材養成、③具体の職業やスキルを意識した教育を行い、高い実務能力を備えた人材養成という三つのタイプに分化させ、各大学の役割・機能の明確化・特色化を加速する改革を促すとしている。さらに18歳人口の減少に対応すべく、大学の縮小再編・統合が避けられないとして、「地域連携プラットフォーム」を設置し、地域を単位に大学を縮小再編していこうとしている。

地方大学について、この間の文科省の政策を敢えて単純化するなら、①地域の高校生が地元の大学に進学し、②地元に定着できるよう、③具体の職業やスキルを意識した教育を行い、実務能力を高める大学へとその役割を自ら明確にし(文科省が考える地域人材とはこのような人材なのかもしれない)、④大学としての地域貢献を通してその存在意義をアピールし、⑤地域の事情を勘案しての大学の縮小再編もやむなし、ということになるのであろう。

では、私が所属する高崎経済大学はどうであろう。高崎経済大学は全国で最初に地域政策学部を設置した、いわば老舗である。上記の文科省政策と対応させてみると、①群馬県外からの学生が7割を占めており、全国に開かれた大学である。②大学はそれぞれの学生が、できれば出身地へ戻り、地域活性化人材として活躍することを期待しており、実際に地元で活躍している同窓生が多い。③④地域政策学部の多くのゼミナールでは地域と連携・貢献を通して実践的・実証的教育が行われているが、専門分野の学術的教育を軽視することはない。また高崎市がフィールドになることもあるが、それぞれの分野の学びに適した市街・県外の地域と連携することも珍しくはない。

このように、必ずしも文科省が想定している単純な図式の中にはピタリと入り切れないのが、全国の多くの大学の実態ではないだろうか。地域連携・地域貢献においても、それぞれの・その時々の教員組織や自治体との関係に応じて多様な形があっても良いのではないかと思うのである。地域政策という観点から見れば、重要なのは、将来の地域を担う意志と力を持った人材をどのように育て輩出するのか、それこそが大学の使命なのではなかろうか。

 

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