宮崎市の障がい者施策推進協議会の会議に参加し、そこで障害者差別解消法の改正の報告があり、宮崎市で作成された合理的配慮の理解啓発動画のお披露目がありました。様々な障がいがあって、全部を網羅できないので、誰にとっても分かりやすくするため、車椅子の方の対応を中心に10分間にうまくまとめた動画になっていました。これから広報活動に使われると思いますが、私がこの協議会に参加するたびにいつも感じるのは、様々な行政の支援が行われているにも関わらず、当事者、特に一般の市民の方に伝えることが難しいということ。この動画がうまく活用されればいいのですが。
障害者差別解消法に話を戻すと、施行されたのは平成28(2016)年4月1日で、その際にはパレードが宮崎市の橘通りで行われ、県内の障がい者、約200人が横断幕やのぼりを持って市街地を練り歩きました。施行前から障害者差別解消法の理解を深めるための学習会、施行後には学習会だけでなく、共生社会を目指した多くのイベントが開催され、私もいくつか参加させて頂きました。
その盛り上がりは、ちょうど2016年のブラジルのリオで開催されたパラリンピックが人気と注目度を高めたことにあります。そして令和元(2019)年度障害者白書を見るとわかりますが、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした取組」として、「心のバリアフリー」を推進することやユニバーサルデザインの街づくりを進め共生社会を実現し、障がいのある人等の活躍の機会を増やしていくことなどが書かれています。さらに、宮崎県ではそれらに加えて、2020年に第 35 回国民文化祭と第 20 回全国障害者芸術・文化祭の一体開催が行われるということで、東京の次は宮崎だとみんなで障がい者への理解が一層深まることを期待していたところでした。
ところが、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、 2020年開催予定のこれら全てのイベントは延期となったわけです。
障害者差別解消法は平成28(2016)年に施行、そして令和3(2021)年に改正があり、令和6(2024)年4月1日に改正障害者差別解消法の施行ですが、内閣府の5年に1度行われている「障害者に関する世論調査」の障害者差別解消法の周知度についての結果によると、障害者差別解消法について「知らない」と答えた人が平成29年度は77.2%、そして令和4年度の調査では74.6%となっていました。少し減ってはいますが、やはりあまり変わっておらず、7割以上の人が知らないということになります。
障害者差別解消法の正式な名称は、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」で、国連での障がいに関する初めての条約である障害者権利条約をもとに作られたものです。障害者権利条約の合言葉は「Nothing About Us Without Us!(私たち抜きに、私たちのことを決めないで)」、審議に各国の政府だけでなく、民間の障がい者団体の参加が認められ、特に注目されるのは障がいの捉え方で、それまでの「医学モデル」から「社会モデル」としたことにあります。
このモデルの違いは調べて頂くことにして、今回の障害者差別解消法の改正は、合理的配慮が行政は義務で事業者は努力義務であったものが、事業者も義務となったことです。ここで、よく勘違いされるのが「事業者」とは誰のことかということです。企業だけでなく、自治会もボランティア団体も含まれますので、ほとんどの人に関係し「知らない」が7割ではいけません。それと「合理的配慮」の考え方も何でも障がいのある方の言うとおりにしないといけないというものではありません。簡単にいうと一緒に話をして考えましょうということで、大切なことはコミュニケーションです。
今年はオリンピックの年で、パリパラリンピックが8月から開催されます。リオ、東京以上に盛り上がり、今回の改正障害者差別解消法についてもいいタイミングなので周知されるといいなと思います。さらに、7月に正式に発表がありましたが、令和9(2027)年の第81回国民スポーツ大会・第26回全国障害者スポーツ大会の宮崎県開催が決定しました。またチャンスがきたという感じ。
コロナ禍前に盛り上がりましたが、今回は改正があり、もう一度リベンジするような気持ちで、周知できないかと思っています。
宮崎市の障がい者施策推進協議会の中で、私も少し力がこもって「国や県の施策だけでなく、宮崎市独自のものも考えていきましょう」などと発言してしまいました。ここにも書いてしまいましたが、皆さんにも知っていただきたいし、私自身も忘れないようにという気持ちです。まずは来週からのパリ2024オリンピックです。パリパラリンピックに続くようしっかり盛り上がってもらいたいです。