「地域政策」とは何か

2016年3月1日

増田 正(高崎経済大学)

 ちょっと変わった「地域政策」の話題です。
 当学会の正式名称は「日本地域政策学会」です。あまりにも当たり前のことのように思われるかもしれませんが、日本の学会は、たいてい「日本」を省略して呼ばれることが多いため、「地域政策学会」と呼ばれることが多いようです。当学会は日本学術会議協力学術研究団体であり、もちろん日本学術会議のサイトに登録されています。

 そのサイトによれば、名称に「日本地域」とつくのは、当学会の他に、日本地域学会、日本地域看護学会、日本地域経済学会、日本地域福祉学会があります。ちなみに、日本を外した「地域学会」には、地域安全学会、地域漁業学会、地域研究学会連絡協議会、地域研究コンソーシアム、地域社会学会、地域地理科学会、地域デザイン学会、地域農林経済学会、地域文化学会の9団体があります。

 これらの14団体だけが「地域関連学会」かといえば、もちろんそうではありません。また、ややこしいことに、高崎経済大学には、学内団体として「地域政策学会」があり、1998年10月から『地域政策研究』(年4回・紀要)を刊行しています。一方、当学会は2003年3月から、機関誌『日本地域政策研究』を刊行しており、現在15号を数えます。

 当学会では、名前の通り、主として日本の「地域政策」を研究対象としています。学会の設立趣旨には「日本地域政策学会は、急速に進展する地方分権化とグローバル化の中で、地域政策の分野における国内外の研究成果や実践成果を有機的に結合させつつ、地域政策の実務と研究の新しい統合をめざすものです。とりわけ、地方分権という社会的要請に応えるために、地域政策や地域づくりに関する高度な知識と広い視野に立った戦略的な政策立案・実施・評価のあり方、地域経営・組織運営のための知識や技法を研究することを主な目的としています。」とあります。

 しかし、一般に「地域政策」というときには、アジア、ヨーロッパなどの国際地域も入ることがあります。当学会では、2005年から2008年にかけて、東アジア国際シンポジウムを4回開催しており、その意味では比較研究の対象は、日本ばかりとは言えないのではないでしょうか。

 「地域政策」を、国家による地域をフィールドとした下請け的な政策実施と捉えるか、地域を主体とした自律的な政策創出と捉えるかでも、言葉の意味は全く変わってきます。
 皆さんの考える「地域政策」とは何でしょうか。その共通性と異質性について、もう一度深く考えてみるのも面白いのではないかと思います。

2016年3月1日

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